エアコン取り付け工事で必要になる配管パイプの3つの追加工事

2017/07/18公開


エアコンを取り付けるために、必要不可欠な部材の一つである「配管パイプ」。
しかし、配管パイプの取付はエアコン工事の中でも、最も多くの方が追加工事費用を支払っている作業でもあります。

追加工事が発生するかどうかで、エアコンの取付工事費用は大きく変わります。
「自分のエアコンを取り付けるときは、配管パイプの追加工事は発生するのだろうか?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、配管パイプに関わる3つの追加工事と、その費用相場をご紹介します。
これからエアコン取り付け工事を予定している方は、ぜひ参考にしてください。

エアコンの配管パイプとは

エアコンの配管パイプとは、ルームエアコンの室外機と室内機をつなぐ銅製の管のことを指します。

エアコンは、室外機と室内機との間で冷媒ガスを行き来させることで、部屋の温度を下げる仕組みになっています。
このときに室外機・室内機をつなぎ、冷媒ガスを循環させているのが配管パイプです。

そのため、配管パイプで室外機と室内機を正しくつなぐことができなければ、エアコンを動かすことはできません。
配管パイプは、エアコンを取り付けるために必要不可欠な部材の一つなのです。

エアコン配管の「2分3分」と「2分4分」の違い

家庭用エアコンの配管パイプは、大きく2つの種類に分けられます。

  • 2分3分配管
  • 2分4分配管

上記の2つの配管パイプでは、どのような違いがあるのでしょうか?
それは、配管パイプの太さです。
2分・3分・4分という言葉は、それぞれ配管の外径の大きさを表したものです。

  • 2分・・・6.35mm
  • 3分・・・9.52mm
  • 4分・・・12.70mm

よって、2分3分配管は、6.35mmと9.52mmの配管の2本セットを、そして2分4分配管は6.35mmと12.70mmの配管の2本セットを意味しています。

これらの太さの違う配管パイプは、取り付けるエアコンの冷房能力によって使い分けられています。

冷房能力の高いエアコンは、冷風・温風をより多く作るために、より多くの冷媒ガスを循環させなければなりません。
そこで、より多くの冷媒ガスを滞りなく届けるために、より太い配管パイプが必要になるからです。

日立製のエアコンの場合、エアコンの冷房能力と配管パイプの太さは、以下のように分けられています。

<日立エアコンの冷房能力と配管の対応表>

冷房能力 対応する配管
5.6kW以下 2分3分配管
6.3kW以上 2分4分配管

出典:www2.tochi.hitachi.co.jp

このように、エアコンの電力効率を最大限に発揮するためには、エアコンの性能に合った太さの配管を取り付けなければなりません。

また、配管の追加工事が発生した場合の費用は、使用する配管の太さによって異なります。

それでは、エアコンの配管パイプに関連する追加工事には、どのようなものがあるのでしょうか?
続いては、エアコンの配管パイプに関わる3つの追加工事をご紹介していきます。

配管パイプに関わる3つのエアコン取り付け追加工事


エアコンの取り付け工事で発生する、配管パイプの追加工事は以下の3つです。

  1. エアコン配管パイプの延長
  2. 配管パイプの交換
  3. 配管カバーの取り付け

それでは、これらの追加工事はどのような場合に必要になるのでしょうか?
配管パイプの追加工事が必要になる条件と、その工事にかかる費用の相場をご紹介していきます。

なお、これから記載する料金は、以下の家電量販店5社が運営するネット通販サイトの工事価格(税別)を参照しております。(2017年7月12日現在)

【工事料金を参照している家電量販店】

1.エアコン配管パイプの延長

エアコン配管パイプの延長が必要になるのは、エアコンの室外機と室内機の設置場所が離れている場合です。

室外機と室内機の設置場所が離れている場合、標準工事に含まれている配管パイプでは、長さが足りなくなってしまうからです。
一般的な新品エアコン取り付けの標準工事には、あらかじめ4mまでの配管パイプが含まれています。
しかし、4mとは室外機と室内機がすぐ近くに取り付けられている時に必要となる、最低限の配管の長さです。

例えば、室外機を1階、室内機を2階に取り付ける場合、必要となる配管の長さはおよそ5~6mです。
そのため、標準工事に含まれる配管の長さでは足りなくなり、1~2mほどの配管延長が必要になります。

室外機と室内機の設置場所が離れる可能性がある方は、事前に工事業者に料金の確認を行いましょう。

配管パイプの1mあたりの延長料金は以下の通りです。

  • 2分3分配管・・・2,000~3,000円
  • 2分4分配管・・・2,962~3,000円

2.エアコン配管パイプの交換

エアコン配管の交換が必要になるのは、今まで使っていたエアコンの配管パイプを再利用することができない場合です。

エアコンの移設・交換工事などでは、配管パイプなどの部材を使いまわすことがあります。
しかし、部材の再利用はすべての方ができるわけではありません。

そのため、エアコンの配管パイプを再利用することができない場合には、配管の購入費用を追加で支払わなければなりません。

配管パイプ1mあたりの交換費用は以下の通りです。

  • 2分3分配管・・・2,000~3,000円
  • 2分4分配管・・・2,962~3,000円

それでは、エアコンの配管パイプが再利用できない時とは、具体的にどのような時を指すのでしょうか?
それは、以下の3つのパターンに分けられます。

  • エアコンの配管パイプが劣化している場合
  • 以前使っていたエアコンと、新しく取り付けるエアコンの配管パイプの太さが異なる場合
  • 以前使っていたエアコンと、新しく取り付けるエアコンの冷媒ガスの種類が異なる時

それぞれのパターンについて、詳しくご説明していきます。

エアコンの配管パイプが劣化している場合

これまで使っていたエアコンの配管パイプに、ひび割れ・傷・凹みなどの劣化が見られる場合には、配管パイプの交換が必要になります。

前述のとおり、エアコンの配管パイプは冷媒ガスを循環させる役割を果たしています。
そのため、配管パイプが劣化してひび割れなどが見られると、冷媒ガスが漏れ出し、エアコンの効きが悪くなったり、故障を引き起こしたりする可能性があるからです。

ただし、配管パイプの劣化や破損の状態は、エアコンの設置環境によっても大きく異なります。
配管パイプの再利用を検討している方は、エアコン工事の専門業者に配管の状態を確認してもらってから判断するようにしてください。

以前使っていたエアコンと新しく取り付けるエアコンの配管の太さが異なる場合

これまで使っていたエアコンと、新設するエアコンの対応している配管の太さが異なっている場合、配管パイプの交換が必要になります。

先ほどご説明したとおり、エアコンの配管には「2分3分配管」と「2分4分配管」の2つのサイズがあります。
そして、エアコンの対応サイズと異なるサイズの配管を取り付けると、エアコンの効きが悪くなったり、故障を引き起こしたりする危険性があります。

2分4分配管用のエアコンに、誤って2分3分配管を取り付けてしまった場合を例にあげて、詳しく説明していきます。

2分4分配管を正しくエアコンに接続した場合、エアコンの冷媒ガスは滞りなく配管の中を進んでいきます。

しかし、誤って2分3分配管を取り付けると、室外機から送り出される冷媒ガスの量に対して、配管の太さが狭くなってしまいます。
その結果、配管の内部で冷媒ガスが滞り、部屋の中に届けられる冷風の量が少なくなってしまうのです。

エアコンの電力効率を下げないようにするために、今まで使っていたエアコンと新しいエアコンの配管の太さが異なる場合は、配管パイプの交換をおすすめします。

以前使っていたエアコンと、新しく取り付けるエアコンの冷媒ガスの種類が異なる時

エアコンの内部を巡回している冷媒ガスには、大きく分けて3つの種類があります。

R22
1990年代までは、家庭用エアコンの主流となっていた冷媒です。
地球温暖化に与える影響が大きいため、R22を使ったエアコンの生産は年々削減されています。
R410A
1998年より家庭用エアコンに採用された冷媒ガスです。
R22よりも地球温暖化係数が低く、地球に優しい冷媒です。
R32
2012年よりエアコンメーカーのダイキンが家庭用エアコンに採用した新冷媒です。
地球温暖化係数はR410Aの1/3にまで抑えられています。

そして、これまで使用していた配管に通していた冷媒ガスと、新しく取り付けるエアコンで使用する冷媒ガスの種類が異なっている場合、配管パイプの交換をおすすめします。

異なる冷媒ガスを同じ配管に通すと、配管の内部で不純物が生成され、エアコンの故障を引き起こす危険性があるからです。

また、冷媒の異なる配管パイプを再利用する方法として、配管洗浄という作業がありますが、この方法はあまりおすすめできません。
配管洗浄の費用相場は20,000~50,000円ととても高額で、配管パイプを交換してしまったほうが費用を安く抑えることができるからです。

今まで使用してきたエアコンの冷媒ガスと、新しく取り付けるエアコンの冷媒ガスの種類が異なる場合には、配管パイプは必ず交換するようにしてください。

エアコンの配管パイプを再利用するリスク

ここまで、今まで使っていた配管パイプが再利用できずに交換となるケースを紹介してきました。

エアコンの工事業者も、基本的に配管パイプの再利用はおすすめしていません。
配管パイプの再利用には、少なからずガス漏れや故障のリスクがあるからです。

エアコンの配管は金属の中でも特に柔らかく、加工性に優れた銅でできています。
そのため、エアコンを取り付けるたび、再利用される配管パイプには加工の跡がつきます。
そのような配管で再度エアコンを取り付けることで、ガス漏れの危険が増してしまいます。

また、配管パイプを再利用した場合、配管パイプからのガス漏れは工事保証の対象外となります。

たしかに、多くの場合ではエアコンの配管パイプは再利用することができます。
しかし、より安心・安全にエアコンをお使いいただくためには、配管はエアコン取り外し・取り付け工事を行うたびに、交換することをおすすめします。

3.エアコン配管カバーの取り付け

最後にご紹介する追加工事は、エアコンの配管カバーの取り付け作業です。

配管カバー(別名化粧カバー・ダクトカバー)とは、エアコンの配管パイプの上にかぶせる樹脂のカバーのことを指します。

エアコンの化粧カバー取り付けは、任意の追加工事になります。
そのため、希望者以外はこの工事が必要になることはありません。

ダクトカバーを取り付けることで、以下のようなメリットがあります。

  • エアコンの配管周りの見た目が良くなる
  • 室外機側の配管パイプを劣化から防ぐことができる

配管カバーの取り付け費用は以下のとおりです。

  • 室外機側・・・7,000円~
  • 室内機側・・・4,629円~

▼関連記事
エアコンの配管に化粧カバーは取り付けるべき?

以上がエアコンを取り付ける時に必要となる、配管パイプに関連する3つの追加工事と、その料金相場です。

しかし、エアコンの追加工事の費用は、工事を行う業者によって大きく異なります。
「エアコンの取り付け費用をできるだけ安くしたい!」と思う方も多いのではないでしょうか?

ここからは、エアコン取り付け工事の費用をより安くする方法をご紹介していきます。

エアコン取り付け費用を格安にする方法

エアコンの取り付け費用を格安にするためには、複数のエアコン工事業者の料金を比較することが大切です。

エアコンの取付工事費用は、工事業者によって大きく異なります。
そのため、エアコン工事を格安で行うためには、一番安いエアコン工事業者を探さなければなりません。

しかし、複数のエアコン工事業者に電話をして、各社の工事料金を比べるのは非常に手間がかかります。
1社の見積りを取るのに15分以上かかるとしたら、4社からの見積りを取るには少なくとも1時間必要になります。

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