省エネ基準値:エアコン取り外し・取り付け工事用語集

エアコン取り付け工事用語の解説

省エネ基準値という用語は、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」が元になっています。この法律は省エネ法と呼ばれ、住宅・建築物部門のほか産業部門、運輸部門の省エネに関する目標及び基準が定められています。

住宅における省エネの段階的義務化

住宅・建築物部門における基準値は省エネ法を元にした告示等に具体的に定められています。政府は低酸素社会に向けた住まいと住まい方の推進に関する工程表を策定し、この中で小規模な住宅について2020年をめどに省エネ基準の適合義務化を進める工程を記載しています。

低炭素社会の実現に向け、規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら、2020年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合を義務化する。これに向けて、中小工務店・大工の施工技術向上や伝統的木造住宅の位置付け等に十分配慮しつつ、円滑な実施のための環境整備に取り組む。

引用元:住宅・建築物の省エネルギー施策に関する最近の動向について – 国土交通省

その間は小規模住宅には省エネ基準は適応されず、住宅金融支援機構の住宅ローンにおける技術基準や、住宅性能表示制度、エコポイント制度において、別途の省エネに関する基準が定められるに留まります。現行の省エネ基準は、床面積300㎡以上の建物において適用され、外皮の断熱性能及び設備性能を総合的に評価する一次エネルギー消費量に一定の基準値を設け、これが省エネ基準値の一つとなっています。

お役立ち情報

省エネ基準と住宅

省エネ基準値は小規模住宅に対する省エネ基準の義務化が近づくにつれて身近な用語となってきます。家づくりにおいても、エアコンなどの空調設備機器も含めた総合的な省エネの評価が行われます。

省エネ法の中で用いられている新たな基準として一次エネルギー消費量があります。住宅で使用する設備機器は、電気、ガス、石油など種類の異なるエネルギーによって稼動されています。これらのエネルギーは種類により製造工程が異なるため、単純に単位あたりのエネルギー量を比較したのでは、どれぐらいの化石燃料を消費したのかが判別できません。

そこで化石燃料等への換算値として、一次エネルギー消費量という値を新たに設け、住宅設備に使われている各種のエネルギーを一次エネルギー消費量に換算します。省エネ法では、この一次エネルギー消費量に対して、部屋の用途や面積を根拠に算出された基準を設け、新たに建てようとする住宅の設備等の設計一次エネルギー消費量が、基準一次エネルギー消費量を上回らないことを確かめなければならない規定を設けています。

◆計算対象となるエネルギー消費量
暖房、冷房、給湯、換気、照明の5用途の消費である。TV、オーディオ、掃除機等の家電機器や厨房用途のエネルギー消費は含まれない。

◆代表的な機器(効率などの計算に必要なデータを用意
暖房:各種エアコン、温水暖房、ガス/石油のFF暖房、蓄熱電気暖房
冷房:各種エアコン
給湯:HP給湯器、ガス/石油給湯器(潜熱回収型も含む)、太陽熱利用、節湯機器利用 など
換気:第1種及び第3種のダクト式(熱交換器の効果は建物外皮の省エネ性で評価)
照明:各種蛍光灯、白熱灯、各種省エネ手法(タイムスケジュール、調光スイッチ、人感センサー)
エネルギー利用効率化機器:燃料電池コージェネ、ガスエンジンコージェネ、太陽光発電

引用元:一次エネルギー消費量の計算方法の概要 – 国土交通省

エアコンと省エネ基準値 – 通年エネルギー消費効率(APF)

近年になって、エアコンの省エネ能力の指標に、従来のCOP(Coefficient of Performance)ではなく、すべて通年エネルギー消費効率(APF)が用いられるようになりました。
1年間エアコンを動作させたとき、必要とした冷暖房の能力をエアコンの消費電力で割った値で、この値が大きいほど省エネ性能の高いエアコンだといえます。

現行省エネ法における性能指標は、冷房及び暖房の定格条件におけるCOPを用いている。しかし、エアコンの効率は、負荷と外気温度、さらに現在の主流であるインバータ機においては圧縮機の回転数によって能力が変化(能力可変形ルームエアコン)するため、定格条件だけで実使用に近い評価を行うには課題がある。
そこで、通年エネルギー消費効率(APF)を規定し、エアコンが使用される建物及びその用途等の負荷条件、冷房/暖房期間における外気温度の発生時間、さらにインバータ機の特徴である能力変化にともなうエアコンの効率を考慮することで、使用実態にあったエネルギー消費効率の評価を可能とする。

引用元:住宅・建築物の省エネルギー施策に関する最近の動向について

これによって各社の省エネルギーラベルにも変更がなされています。もちろんCOPを基準としていた時と、基準達成率にも変動が見られます。