エアコンの配管工事を行う際、隠蔽配管という方法で配管を行う場合があります。
隠蔽配管とは、エアコンの配管を壁の中や天井裏の内部に隠し、外から配管が見えないようにする施工方法です。
部屋に窓がなくてエアコンの設置ができない場合や、新築の一戸建てで、家屋のデザインや雰囲気を大切にしたい場合などに、隠蔽配管でエアコンの配管を繋ぎます。
しかし、隠蔽配管に関わる工事は非常に複雑で、エアコンの修理や買い替えで工事が必要になると、追加費用が発生します。
そのため、隠蔽配管でエアコンを取り付ける際は、メリットとデメリットを比較することが大切です。
今回は、隠蔽配管とはどのような配管方法で、工事費用はいくらくらいかかるかなど、隠蔽配管のメリットとデメリットと併せてご紹介します。
隠蔽配管でのエアコン取り付けを考えている方はぜひ参考にしてください。
隠蔽配管とは
通常、家庭用エアコンの配管を行う場合は、露出配管という方法でエアコンの配管を行います。
露出配管とは、室内機の取り付け位置から家の外に向けて、一直線に壁に穴を開ける工法です。
それに対して隠蔽配管とは、壁や天井裏の内部で配管を折り曲げ、配管が外に露出する箇所を最低限に抑える工法です。
【隠蔽配管と露出配管の違い】
隠蔽配管には、家を建てる段階であらかじめ壁の中などにエアコンの配管を通しておく先行配管と、配管を通すスペースだけを先に作り、後からエアコンの取り付け工事を行って配管を通す2つの方法があります。
これからご自宅の配管を隠蔽配管にしようか迷っている方は、どの隠蔽配管でエアコンを取り付けるか、ご自宅の完成予想図を考えたうえで決めましょう。
それでは、隠蔽配管にする場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
ここから詳しくご紹介していきます。
隠蔽配管にエアコンを取り付けるメリット
先ほどご説明したとおり、隠蔽配管には家の外観をより美しく見せるメリットがあります。
配管の部分が壁の中に隠れるため、たるんだ配管などが外から見えることがないからです。
そして、隠蔽配管のメリットは、家の外観の美しさを維持するだけではありません。
以下のような状況でも、エアコンを設置することができます。
- 外に面していない部屋や高層階にある部屋
- ベランダがない部屋
- 室内機室外機の距離が離れている
このように、隠蔽配管の施工をすれば、露出配管ではエアコンを取り付けることができない部屋にもエアコンを取り付けることができるようになります。
そのため、スペースに余裕がない都心のマンション等で、よく用いられる配管の施工方法です。
隠蔽配管にエアコンを取り付けるデメリット
対して、隠蔽配管のデメリットは、以下の点が挙げられます。
- エアコンの修理や新規設置の工事作業が必要な際、かなりの時間と費用がかかる
- 加湿機能など、高機能を備えたエアコンには対応できない
- 配管が長く、曲がることも多いため、空調効率が落ちる
- 害虫がわきやすい(特に一戸建て)
このように隠蔽配管は、修理時の手間や費用、空調効率、そして衛生面といった点でデメリットがある配管方法です。
以上の理由と、将来的な家屋のメンテナンスといった点から考えると、隠蔽配管は負担の大きいエアコンの設置方法です。
露出配管でエアコンが設置できるのなら、隠蔽配管での施工は避けたほうがよいでしょう。
以上が、家の配管を隠蔽配管にするメリット・デメリットです。
あなたはご自宅の配管をどのように施工するか、もう決めましたか?
ここからは、隠蔽配管にエアコンを取り付ける場合の費用についてご説明していきます。
隠蔽配管へのエアコン取り付け工事の費用
隠蔽配管が施された部屋にエアコンを取り付ける場合の追加費用の目安は以下のとおりです。
先行配管(1ヶ所) | 6,600円(税込) |
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エアコン工事の時に配管を通す隠蔽配管(1ヶ所) | 11,000円(税込) |
このように、隠蔽配管の費用は高額です。
中には、「自分でなんとか取り付け工事を行って、費用を節約したい!」という方もいるのではないでしょうか?
しかし、隠蔽配管は、家屋工事並みの技術が要求される配管方法なので、一般の方が工事を行うのはかなり難しいです。
工事業者に依頼した方が確実な施工になります。
「それでも自分で隠蔽配管にエアコンを取り付けたい!」という方は、設計図などを用意し、建物の構造をよく調べたうえで隠蔽配管の作業を行ってください。
▼参考動画
エアコン配管隠蔽工事からエアコン取り付け工事までの施工例(電気の便利屋デンリ)
隠蔽配管を再利用する場合の費用相場
エアコンを古いタイプから新しいタイプに買い換えて、配管を再利用する場合、配管洗浄の作業が必要になります。
古いタイプのエアコンと、新しいエアコンでは使用している冷媒ガスの種類が異なるので、そのまま再使用すると、不純物が生成されてしまい、エアコンの故障を引き起こす可能性があるからです。
2012年以前に製造されたエアコンの多くは、現在主流となっているR32ガスとは異なった種類のガスが使用されています。
以前使用していたエアコンの配管を再利用したいと考えている場合は、エアコンの製造年月日と使用されているガスの種類を確認してください。エアコンの据付説明書やエアコン室外機の側面などに記載されています。
業者によって異なりますが、配管洗浄の費用の目安は以下のとおりになります。
【配管洗浄の費用の目安】
配管洗浄(1ヶ所) | 22,000~55,000円(税込) |
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このように配管洗浄を行うとなると、かなり高額な出費となります。
また、配管が以下のような状態になっている場合、配管の再利用はできません。
- 配管にひび割れ、傷、凹みなどがある(ガス漏れの危険性)
- 配管の太さが異なる(冷暖房効率の悪化・エアコン本体の故障原因)
新しく取り付けるエアコンのガスの種類が異なっている方は、配管洗浄よりも費用が安く済む配管交換がお勧めです。
その場合に行う、配管交換の費用は以下のとおりです。
【配管パイプ(1m)あたりの交換費用】
2分3分配管 | 3,300円~(税込) |
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2分4分配管 | 4,400円~(税込) |
配管パイプの追加工事について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
▼参考記事
エアコン取り付け工事で必要になる配管パイプの3つの追加工事
まとめ
隠蔽配管は、一般的に用いられる露出配管に比べて手間と費用がかかる配管方法です。
エアコンに修理箇所が生じたり、新しく取り替える工事が必要になったりすると、壁を取り壊すなどの作業が発生する可能性があるからです。
そのため、隠蔽配管はできるだけ避けたほうがよい施工方法です。
隠蔽配管でエアコンの配管を行う場合は、家屋の修繕時期やエアコンの寿命なども踏まえたうえで、工事業者へ依頼したほうがよいでしょう。
エアコンサポートセンターでは、隠蔽配管のご家庭のエアコン工事に関するご質問にも、無料でお答えします。
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