エアコンの設置に専用コンセントが必要な理由とは?

エアコンを取り付けるときに確認しなければいけないポイントはいくつかありますが、中でも忘れがちなのが「コンセント」のチェックです。
意外と知られていませんが、実はエアコンの電源プラグを繋げるためには、エアコン専用のコンセントを使わなければいけません。

日常生活では何気なく使っているコンセントですが、エアコンを取り付ける際にはチェックしなければいけないポイントが3つあります。

  1. エアコン専用のコンセントがあるかどうか
  2. コンセントの形状とエアコンの電源プラグの形状は合っているか
  3. コンセントの対応電圧とエアコンの電圧は合っているか

上の3つを確認して、すべてクリアしていれば問題ありませんが、どれか1つでも不明な部分があれば、エアコンの取り付けができない可能性があります。
コンセントの形状と電源プラグの形が合っていなければ、コンセントにさすことができないので使えません。
さらに、エアコン専用ではないコンセントや、電圧が合っていないコンセントを使用した場合、火災などの大きな事故に繋がるおそれがあるのです。
製品安全センターの発表によると、エアコンが原因となる火災事故は平成23年度~27年度の5年間に298件も発生しています。
そしてその火災の代表的な原因のひとつに、エアコンのコンセントの不適切な修理・接続にあります。
参照:製品安全センター 夏到来、エアコンや扇風機の火災にご注意ください

エアコンを安心・安全に使うために、これからエアコンを取り付けたい方は、ぜひ参考にしてください!

エアコンに専用コンセントが必要な理由

正しいコンセントを使用しないと事故になる

エアコンを通常のコンセントで使用すると、最悪の場合、火災などの事故を起こすかもしれません。

なぜなら、エアコンは使用電力がとても大きく、通常のコンセントでは電力が足りなくなってしまうおそれがあるからです。
通常のコンセントは、複数で同じ回路を使って電力を供給しています。
つまり、コンセントひとつあたりで使える電力は、専用コンセントに比べると、少なくなるということです。

そのため、通常のコンセントでエアコンを使うと、電力が足りなくなって頻繁にブレーカーが落ちる原因になります。
また、たくさんの電流が流れることによって、同じ回線のほかのコンセントを使っている家電が壊れてしまいます。
最悪の場合には、コンセント周辺が熱を持ち、火災につながる恐れもあるのです。

別のコンセントで同時使用している家電製品とあわせて、平行プラグコンセントの最大電流15Aを超える場合は発熱・火災の原因になります。

(出典:HITACHI:なぜエアコン専用のコンセントが必要なのですか?

一方、エアコン専用のコンセントは、単独の回路を使って電力を供給する仕組みになっています。
単独の回路であれば、ひとつの回路の電力を全て使うことができるため、エアコンに必要な電力を確保することが可能です。
エアコンの使用に十分な電力を確保できる専用コンセントであれば、事故が起こる危険を減らすことができます。
そのため、専用コンセントがなければエアコンの取り付けはできないという販売店や業者が増えてきているのです。

エアコン専用コンセントの見分け方

エアコン専用のコンセントがあるかどうか判断するには、まずは壁の上部を確認してみましょう。
エアコンを取り付ける位置の近くの壁にコンセントがついていれば、今度はコンセントの形状を確認してください。
一般的なコンセントのように、縦に線状の穴が2本空いているタイプではなく、曲がっていたり、穴が3つ空いていたりしませんか?
壁の上のほうにあり、コンセントの形状が特殊であれば、エアコン専用のコンセントである可能性が高いです。
チェックポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 壁の上のほうにコンセントがあるか
  • コンセントの穴は特殊な形状になっているか

ただし、注意しなければいけないのは、エアコン設置場所の近くにあるコンセントでも、専用の回路を使っているとは限らないということです。
また逆に、コンセントの形状が特殊でなくても、エアコンの電源プラグと形状が合えばエアコン専用コンセントとして使用できるかもしれません。
さらに、今まで、問題なくエアコンの使用ができていたコンセントでも、実は専用の回路を持っていなかった、という事態も考えられます。

上でも紹介したような事故がいつ起きるとも限らないので、エアコン専用コンセントだと確実にわかっている場合以外は、念のため業者の人に確認してもらいましょう。

専用コンセントがないときは増設する

専用コンセントの増設工事をしてもらおう

ここまでは、エアコンは専用コンセントを使わなくてはいけない理由について紹介しました。
では専用コンセントがないときにはどうしたらよいのでしょうか?

エアコン専用コンセントがない家に住んでいる場合は、新たに専用コンセントを増設しなければいけません。
専用コンセントを増設するときは、工事をすることになるため、賃貸物件に住んでいる人は大家さんか管理会社に許可を取る必要があります。

なお、今まで通常のコンセントにエアコンの電源を繋いでいた場合でも、新しく専用コンセントを作らなければいけません。
また、今まで何も起きなかったからといって、今後も事故が起きないという保証はないからです。
さらに、多くの取り付け業者では、エアコンを専用コンセントに繋げない場合はエアコンの取り付けができない決まりになっています。
家電の故障や火事といった事態を防ぐためにも、専用コンセントがない場合は新しく増設することを強くおすすめします。

専用コンセントを増設する際は電気工事士の資格が必要なため、必ず業者に依頼しましょう。

エアコン専用コンセントの形状と種類

コンセントと電源プラグの形状に注意

コンセントとエアコンの電源プラグには種類があり、どのコンセントにどんなエアコンでも設置できるというわけではありません。
エアコンの電源プラグと専用コンセントの形は、以下のような種類があります。

種別 単相100V用 単相200V用
プラグの形状 並行型プラグ アイエル型プラグ ダンデム型プラグ エルバー型プラグ
コンセントの形状 並行型プラグ用コンセントの形状 エルバー型プラグ用のンセントの形状 ダンデム型プラグ用コンセントの形状 エルバー型プラグ用コンセントの形状
カタログでの表示マーク カタログに掲載されている並行型プラグのマーク カタログに掲載されているアイエル型プラグのマーク カタログに掲載されているダンデム型プラグのマーク カタログに掲載されているエルバー型プラグのマーク

エアコンの電源プラグは、エアコンの稼動に必要な電流・電圧によって異なる形をしています。
冷房面積の目安は、単相100vのエアコンが6~12畳ほど、200vのエアコンが14畳以上です。

コンセントは、その回路で使用することが可能な電流・電圧によって穴の形状が変わります。

コンセントと電源プラグの形状が違う場合は交換工事を行う

上でも少し紹介しましたが、エアコン電源プラグは、稼動に必要な電流・電圧によって、形状に種類があります。
もしも、コンセントと違う形状のエアコンの電源プラグを買ってしまった場合、そのままでは使用できません。
そんなときは、エアコン取り付け時にまとめてコンセントの形状交換をしてもらえば大丈夫です。

ただし、この方法が使えるのは、コンセントの電圧とエアコンが使用する電圧が合うときだけです。
コンセントの電圧とエアコンが使用する電圧が合わない場合は、コンセントの電圧を切り替えたり、ブレーカーを交換したりする工事が必要になります。
ここからは、コンセントとエアコンの電圧を合わせるための工事について紹介します。

エアコンが200Vか100Vかによってコンセントの電圧変換が必要

上でも紹介したように、コンセントの形状を交換すれば使用できるのは、電圧が合う場合のみです。
コンセントの電圧とエアコンが使用する電圧が合わない場合は、形状だけでなく回路からコンセントを交換する工事が必要になります。
こうした工事が必要なのは、100v用のコンセントに200v使用するエアコンをつけたいときや、逆に200v用のコンセントに100v使用するエアコンをつけたいときです。
上のような条件の場合、コンセントの電圧の切り替えや、ブレーカーの交換工事が必要になります。

コンセントの電圧の切り替えや、ブレーカーの交換工事なども、電気工事士の資格がなければ行うことができないため、専門の工事業者に依頼しましょう。

コンセントの増設・交換・変換の工事内容と費用

コンセントの工事費用をチェック

エアコン専用コンセントを増設するときの注意ポイントは、壁にただコンセントの穴を足すわけではないということです。
専用コンセントとは、上でも紹介したとおり、エアコン専用の回路である必要があります。
そのため、コンセントから出ている電線が、他のコンセントの電線と繋がることなく、分電盤に直接繋がっていなくてはいけません。
屋根裏などに電線を通すことができない場合、コンセントから分電盤まで繋がるコードは部屋の中の壁伝いに設置される可能性があります。

エアコンのコンセントにまつわる工事の費用は、施工する業者や工事の内容によって変わります。
下記は、家電量販店別の工事費用の一例です。

専用回路の増設工事 コンセントの形状交換 コンセントの電圧変換工事
エアコンサポートセンター 17,820円~(税込) 3,300円~(税込) 6,600円~(税込)
ヤマダ電機 13,000円~ 2,000円~ 2,000円~
ケーズデンキ 13,000円~ 2,000円~ 2,000円~
ビッグカメラ 12,000円~ 2,000円~ 1,000円~

※2017年12月現在の情報を掲載しています。

電源コードの長さが足りなくても延長コードは使わない

設置したい場所とコンセントの位置が離れていると、延長コードを使いたくなる人もいるのではないでしょうか?
しかし、エアコンは長時間にわたって大量の電気を消費する家電です。
延長コードを使用してしまうと、コードが電流に耐えきれず、熱を持ち発火する危険性があります。
エアコンを設置したい場所が専用コンセントと離れた位置にある場合、コンセントの延長工事が必要です。

延長コードは使用しないでください。
延長コードを使用した場合に熱を持ち、発火の可能性がありますので絶対に使用しないでください。

家の新築やリフォームを検討している人は、エアコンを設置したい位置に合わせて、専用コンセントを作ってもらうようにしましょう。

まとめ

エアコンを取り付けるときに、コンセントについて確認すべきことをおさらいしておきましょう。

  • 専用回路を持ったコンセントがあるか
  • コンセントの穴の種類はエアコンに合っているか
  • 専用コンセントはエアコン設置位置の近くにあるか

専用コンセントがなかった場合やコンセントの種類があわなかった場合には、新たにコンセントを増設してもらわなければいけません。
また、専用コンセントがエアコンの設置位置から大きく離れてしまっている場合も、コンセントの延長や増設が必要です。

適切なコンセントを使用して、事故が起きないようにエアコンを使用しましょう。