エアコンの取り外し工事を自分でする方法|手順と注意点、専門業者に依頼した方が良いケースを紹介

エアコンの取り外しは、工事業者に依頼した場合、およそ6,000円の費用がかかります。
「自分でエアコンを取り外して、料金を無料にしたい!」と思う方も多いのではないでしょうか?

エアコン取り外し工事手順のイラスト

エアコンの取り外し作業は、基本的に専門の資格等は不要で誰でも行うことが可能です。

下記の手順でエアコンの取り外し作業ができます。

  1. エアコンの搬出経路を確保する
  2. 室内機の下に養生マットを敷く
  3. 室外機の側面カバーをドライバーを使って開ける
  4. ポンプダウンで冷媒ガスを回収する
  5. 電源プラグをコンセントから抜く
  6. 外したバルブキャップを付け直す
  7. 室外機を取り外す
  8. 室内機を取り外す
  9. 配管パイプを養生する

所用時間は不慣れな方でも40分~1時間程度で作業を終えることができます。
自分で行えば、道具類を買いそろえるための1,000~2,000円程度の費用で取り外し工事が可能です。

この記事では、エアコン取り外し工事を自分で行う方法を解説します。

※注意※
自分でエアコンを取り外す場合には、メーカーが発行する据付説明書や取扱説明書をよく読んで、慎重に取り外してください。
またエアコンの取り外しに失敗すると、エアコンの故障や事故を引き起こす危険があります。
エアコンの種類などによっては自分で行わず、専門業者に依頼した方が良いケースもあります。
中には危険な作業も伴うため、無理をせず、専門業者に依頼をした方がおすすめです。

エアコンの取り外しに必要な道具

エアコンの取り外しに必要な道具

まずはエアコンの取り外しに必要な道具・工具を紹介します。

エアコンの取り外し作業に特殊な工具は不要です。
いずれも近所のホームセンターや100円ショップで購入できるもので十分取り外し作業ができます。

エアコンの取り外しに必要な道具は以下の通りです。

<エアコンの取り外しに必要な道具>

  • プラスドライバー
  • マイナスドライバー
  • モンキーレンチ
  • 六角レンチ
  • カッター
  • ペンチ
  • ビニールテープ
  • 脚立
  • 軍手
  • ゴミ袋
  • パテ

いずれもご自宅にある道具で代用できます。
モンキーレンチやドレンホースの穴埋め用のパテはご自宅にない家庭も多いかと思いますが、ホームセンターでどちらも1,000円程度で購入できます。

お持ちでない方は通販なども活用して購入しましょう。

エアコンの取り外しの手順

ではエアコンの取り外し作業を解説します。
エアコンの取り外しは、長くても60分ほどで完了します。

下記の手順でエアコンを取り外すことができます。

  1. エアコンの搬出経路を確保する
  2. 室内機の下に養生マットを敷く
  3. 室外機の側面カバーをドライバーを使って開ける
  4. ポンプダウンで冷媒ガスを回収する
  5. リモコンでエアコンの電源を切る
  6. 電源プラグをコンセントから抜く
  7. 外したバルブキャップを付け直す
  8. 冷媒ガスが回収できているか確認する
  9. 室外機を取り外す
  10. 室内機を取り外す

難しい作業は少ないですが、手順通り丁寧に作業しないと、エアコンの故障につながるだけでなく、コンプレッサの爆発などによって大きな怪我をする危険があります。

手順は飛ばしたりせず、順番通りに作業するようにしてください。

各手順について詳しく解説していきます。

エアコンの搬出経路を確保する

障害物が多すぎると室外機が撤去できない場合があります

まずはエアコンの室外機の設置場所から撤去するまでの搬出経路を確保してください。

搬出経路が確保できないと、エアコンを取り外しても、室外機を撤去できず、結局専門業者の力を借りることになってしまうことがあるからです。

とくにエアコンを設置してから、隣に新しい建物が建ったり、草木が生えて障害になっていたりすると、室外機を安全に運び出すことができません。

いきなりエアコンの取り外し作業に入るのではなく、まずは搬出経路を確認し、室外機を安全に運び出せるかどうか確認しましょう。
また室外機周辺も十分な作業スペースを確保できるかどうかも併せて確認するようにしてください。

室内機の下に養生マットを敷く

部屋の中に養生をする

エアコンの室内機の下に、養生用のマットを敷いてください。
室内機の取り外しは、脚立に乗って行います。
マットを敷いていないと、脚立の脚や落下した工具で部屋の床を傷つける可能性があるため、必ずマットを敷くようにしてください。

また、養生マットを敷くことで、室内機から落ちるホコリもカーペットで受けることができます。

エアコンの養生とは?

室外機の側面カバーをドライバーを使って開ける

準備ができたら取り外し作業に入ります。

まず、エアコン室外機の側面にあるカバーをプラスドライバーで丁寧に外してください。

室外機のカバーのネジをドライバーで丁寧に外します

室外機は屋外に設置されているため、金属部分がサビてしまっていることがあります。ネジがサビついてしまっていると、硬く外れにくなってしまい、無理に外そうとすると、ネジの頭がつぶれてドライバーで外せなくなってしまいます。

ネジがさび付いてしまっている場合は、防錆潤滑剤を噴霧するなどして、外すようにしてください。
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この際、電源コードなどに触れてしまうと、感電してしまう恐れがあります。
不用意に触れないように注意してください。

また外したネジは取り付け時で使うので、無くさないように保管してください。

ポンプダウンで冷媒ガスを回収する

室外機のネジを外すことができたら、ポンプダウンの作業に入ります。

ポンプダウンとは、エアコンの配管内を循環している冷媒ガスを、室外機の内部に閉じ込める作業のことです。

エアコンの冷媒は主にフロンガスが用いられています。フロンガスは地中温暖化を引き起こす、温室効果ガスの1種です。
仮にポンプダウンを行わずにエアコンを取り外すと、フロンガスが大気中に漏れ出し、オゾン層の破壊、地球温暖化につながってしまいます。
また冷媒ガスが漏れ出て、十分に充填されていないエアコンは、冷暖房効率が大きく低下してしまいます。

ポンプダウンは法律に定められた大事な作業なので、丁寧に行ってください。
ポンプダウンの手順は下記の通りです。

  1. 2本の配管のバルブキャップを外す
  2. 強制冷房運転をする
  3. 送り側(細い方)の配管のバルブを締める
  4. 2~3分間強制冷房運転を続ける
  5. 受け側(太い方)の配管のバルブを締める
  6. 速やかにエアコンを停止する

ポンプダウンの作業を誤ると、冷媒ガスが漏れ出たり、コンプレッサーに過負荷がかかったりし、最悪の場合、爆発事故につながる恐れもあります。

エアコン取り外し作業の中でも最も重要な作業に当たるので、注意して作業を行ってください。

自分でエアコンのポンプダウンをする方法

2本の配管のバルブキャップを外す

先ほど外したカバーを開けると、2本の配管が室外機に接続されていることが確認できます。

接続部分に六角形のバルブキャップが取り付けられているので、2つともモンキースパナを使って反時計回りに回して外してください。
この際、誤って配管が接続している六角ナットの方を外さないよう注意してください。

サビついて回しにくくなっている場合は、モンキースパナを2本使い、固定するようにして回すと外れやすくなります。

キャップが外れると中央に穴の開いたバルブ(弁)が見えます。
外したバルブはあとで再び付け直すため、無くさないように注意してください。

強制冷房運転をする

冷房を強制運転させる

バルプキャップを開けたら、室内機側に戻り、リモコンを使い設定温度を最低にして冷房運転をしてください。
冷房運転をすることで、エアコン内部に充填されている冷媒ガスを循環させることができます。

この際、暖房ではなく、必ず冷房運転をしてください。

夏場の場合は通常通り、冷房のボタンを押せば問題ありませんが、外気温が低い冬場は冷房のスイッチを押しても室外機のファンが回らず冷房運転ができなくなってしまいます。
この場合、エアコンに搭載されている“強制冷房運転”の機能を使う必要があります。

強制冷房運転はどのエアコン機種にも搭載されている機能ですが、起動方法はメーカーや機種によって異なります。
下記でメーカー別の強制冷房運転の方法や問い合わせ先を掲載しているので参考にしてください。

室内機の吹き出し口から冷風が出ており、室外機のコンプレッサーも稼働していれば、強制冷房が作動しています。

メーカー別強制冷房運転の方法

メーカー名 強制冷房運転の方法 問い合わせ先
ダイキン工業 ダイキンコンタクトセンターへ問い合わせ 電話での問い合わせ:0120-881-081
メールでの問い合わせ:問い合わせフォーム
パナソニック 室内機の前面パネルを開き、応急運転ボタンを、「ピッ」と音が鳴るまで5秒以上押し続ける(2000年以降の商品) 電話での問い合わせ:0120-878-692
メールでの問い合わせ:問い合わせフォーム
日立 Xシリーズの場合:フロンパネルを開いた右下にある応急運転スイッチを5秒以上長押し(タイマーランプが2回点滅するまで)
応急運転スイッチの位置は機種により異なるため、お使いの機種の取り扱い説明書を参照
電話での問い合わせ:0120-3121-11
携帯電話からの問い合わせ:050-3155-1111
LINEでの問い合わせ:友だち追加
東芝 詳しい方法はこちらを参考にしてください。 電話での問い合わせ:0120-1048-00
携帯電話からの問い合わせ:0570-78-3885
富士通 室内機前面パネルの運転表示部分の近くか、前面グリルを開けたところにあるボタンを確認する(「運転/停止」、または「ON/OFF」の表示) 電源を入れたあと、ボタンを5秒以上押しつづける(5秒後に「ピッと音がする)
※ボタンの近くに、『強制冷房運転』という名称か、作動方法が表示されています。
電話での問い合わせ:0120-81-1539
フォームでの問い合わせ:問い合わせフォーム
三菱電機 詳しい方法はこちらを参考にしてください。 電話での問い合わせ:0120-139-365
携帯電話からの問い合わせ:03-3414-9665
シャープ 室内機のオープンパネルを開けた内部、もしくは室内機本体底右端部にある応急運転ボタンを5秒以上押し続ける。 電話での問い合わせ:0120-078-178
携帯電話からの問い合わせ:0570-550-449
コロナ リモコンのふたを開き、針のような先が細いもので「試運転」のボタンを押す
ボタンがない場合はリモコンの「風量設定」ボタンを押しながら「運転/停止」ボタンを押す
電話での問い合わせ:0120-919-302

参考:一般社団法人 日本冷凍空調工業会|関連製品|家庭用エアコン

メーカー別の強制冷房の方法

送り側(細い方)の配管のバルブを締める

細い方の配管(送り側)のバルブキャップをモンキースパナで外します。

強制冷房運転を開始させたら、運転させたままの状態で室外機側に回り、細い方の配管バルブを六角レンチで時計回りに回して締めてください。

細い方の配管は冷媒ガスを送る役割を果たす配管のため、バルブを締めることでエアコン内に新しい冷媒ガスが届かなくなります。
バルブはしっかり締めておかないと、冷媒ガスが漏れてしまうため、回らなくなるまで締めてください。
ただしあまりきつく締めてしまうと、バルブが破損しかえってガス漏れの原因となってしまいます。
ガチガチにレンチを締めるのではなく、レンチが回らなくなってから、もうひと力加えて締める程度の力加減でバルブを締めてください。

この際、間違って太い方のバルブを締めないようにしてください。
太いバルブは受け側の役割を持つバルブのため、冷媒ガスを室外機の中に閉じ込めることができず、配管内に閉じ込められることになってしまいます。
ガス漏れの原因となるため、必ず細い方の配管を締めるようにしてください。

また、太い方の配管バルブはこの時点ではまだ絶対に締めないようにしてください。
太い方のバルブも締めてしまうと、エアコンのコンプレッサーに負荷がかかり爆発事故の原因となってしまいます。

必ずこの時点では、細い方の配管だけを締めて、太い方の配管は何も作業しないようにしてください。

2~3分間強制冷房運転を続ける

送り側の配管バルブを締めたら、2~3分間冷房運転を続けてください。
運転を続けることで、配管内や室内機内部にたまった冷媒ガスを室内機内に送りだすことができます。

受け側(太い方)の配管のバルブを締める

六角レンチで受け側のみ右回しで締める。送り側の配管は何もしない。

強制冷房運転を2~3分稼働させたら、太い方の配管バルブを締めてください。

これにより、室外機にフタをする形となり、室外機の中に送り出した冷媒ガスを閉じ込めることができます。

要領は「送り側(細い方)の配管のバルブを締める」で解説した作業と同じで、六角レンチでバルブを締めてください。
この際、締め方が緩いとガス漏れの原因となるため、しっかり締めるようにしてください。

冷媒ガスが回収できているか確認する

2つのバルブを締めたら、太い配管にあるサービスポートと呼ばれる部品で、冷媒ガスを閉じ込めることができたかどうかを確認できます。
ガスの回収確認には、ゲージマニホールドと呼ばれる圧力計を用いる方法もあります。
ただし、なかなか一般家庭にはない器具なうえ、購入しようとすると1万円近くかかるため、ここではゲージマニホールドを使用しない確認方法を紹介します。

サービスポートは太い配管の方の、エアコン側とは逆側にある接続部品のことを指します。

サービスポートの穴の真ん中に細い棒状のものがあります。
虫ピンと呼ばれる部品で、このピンをレンチなどで押すとガスが噴射します。自転車のタイヤにも同様の部品があるのでイメージしやすいかと思います。
閉じ込めに成功していると、わずかにシューという音がしますが、次第に音が弱くなります。この場合、配管から室内機までの間に冷媒ガスがなくなった証となるため、次の作業に入ってください。

しかし閉じ込めが正しくできていないと、ガスが結構な勢いで噴出し続けます。
この場合、室外機内に冷媒ガスを閉じ込めることに失敗している可能性が高いです。
もう一度、太い配管→細い配管の順にバルブを緩めて、「強制冷房運転をする」の手順からやり直してください。

速やかにエアコンを停止する

冷媒ガスの閉じ込めを確認出来たら、リモコンを使って速やかにエアコンを停止させてください。

2つの配管を閉じた状態で、エアコンを稼働させ続けると、室外機内のコンプレッサーに過負荷がかかり、故障の原因となるだけでなく、最悪の場合爆発事故を引き起こす原因となります。

エアコンを稼働させ続けず、速やかにエアコンの稼働を停止させてください。
ここまで出来たら、ポンプダウンの作業が完了します。

電源プラグをコンセントから抜く

コンセントを電源から抜くのを忘れないでください!

ポンプダウンが完了したら、これ以降はエアコンを稼働させる作業は実施しないため、室内機の電源プラグをコンセントから抜いてください。

のちほど電源コードの切断などを行うため、必ず忘れないようにしてください。
忘れてしまうと、感電事故の原因となります。

絶対に忘れずにコンセントからプラグを抜くようにしてください。

外したバルブキャップを付け直す

「2本の配管のバルブキャップを外す」で外したキャップを付け直してください。

要領は外した時とは逆で、モンキースパナを使って左回り(反時計回り)に回して付けてください。

室外機を取り外す

ここまでできたら室外機・室内機の取り外し作業に入ることができます。

まず室外機は下記の作業で取り外しを行います。

<室外機を取り外す方法>

  1. 室外機の配管(銅管)を取り外す
  2. 室外機の配線を取り外す

取り外し作業に入る前に、もう一度「冷媒ガスが回収できているか確認する」を行って下さい。
ポンぴダウンに失敗していると、配管を取り外す作業の際に、冷媒ガスが勢いよく漏れだし、最悪の場合、やけどや失明の原因となってしまうことがあります。

室外機内に冷媒ガスを閉じ込めたことを確認し、取り外し作業に入りましょう。

室外機の配管(銅管)を取り外す

受け側の配管のナットを緩めるとプッシュっと音がする

まずは配管と室外機を取り外します。
細い配管→太い配管の順に配管を取り外してください。

配管はバルブキャップ側ではなく、配管が接続されているナットを左回り(反時計回り)に回して外してください。

この際、外した瞬間に短くプシュッと音が鳴れば成功です。
勢いよくブシューっと音が鳴ってしまうとガスが漏れている可能性が高いので、「ポンプダウンで冷媒ガスを回収する」から作業をやり直してください。

ナットを外した後は、室外機側、配管側両方の接続口にテープを巻き付けて口を保護してください。
保護しないと、接続口にゴミや水が入り込み、故障の原因となってしまいます。

室外機の配線を取り外す

続いて室外機と電力コードの取り外しを行います。
関電の恐れがあるため、事前にエアコンの室内機の電源プラグがコンセントから取り外しているかどうか再確認してください。

カバーないの上部に黒・白・赤色の3本の電源コードが接続されているのが確認できると思います。
まず、3本の配線を固定している部品をプラスドライバーで外します。
その後、室外機と配線を接続している白いパーツをマイナスドライバーで押し込みながら、配線を下に引っ張ると配線を抜くことができます。

取り外した配線は、同様にテープで先端を保護して、配線がつぶれてしまわないようにしてください。

エアコンを再利用せず、処分する予定の場合は、ペンチなどで切断しても問題ありません。
切断する場所は接続部位から10㎝以上離した灰色のコード部分で切断するようにしてください。

黒・白・赤の3本の電線をニッパーでカットする

その際、3本まとめて切断してしまうと、電源プラグを抜いていても、ショートする危険があるため、一本ずつ切断するようにしてください。

室外機を撤去する

配線を切断できたら、室外機を撤去します。
台座などに固定されている場合は、台座のボルトを外してください。

この際、室外機を傾けたり、横向きに置いたりすると、故障の原因となります。
再利用を予定している場合は、保管方法にも注意してください。

室内機を取り外す

室外機の取り外しができたら、続いて室内機の取り外しを行います。
室内機の取り外しは下記の流れで行います。

  1. 化粧カバーを取り外す
  2. 室内機側のドレンホースを取り外す
  3. 室内機を壁から取り外す
  4. 据え付け板をドライバーで外す
  5. 壁の配管穴をパテ埋めする

化粧カバーを取り外す

配管の化粧カバーを取り外します

ドレンホースや配管を覆う化粧カバーを取り付けている場合は、ドライバーなどで化粧カバーのネジを取り外してください。

この際、壁の穴をふさぐパテなども簡単に取り除けるので一緒に取り外してください。

エアコンの化粧カバーとは

室内機側のドレンホースを取り外す

まず、室内機側のドレンホースを取り外します。
ドレンホースとは、水を外へ排水するたに屋外の排水口へ向けられたホースのことを指します。

ドレンホースは本体側のホースと、後から追加で接続されたドレンホースの2つで出来ています。
ビニールテープなどで、2本が接続されていることが多いので、つなぎ目を見つけたらカッターなどでテープを外して分解してください。
この際、ドレンホース本体を傷つけてしまわないように注意してください。
心配な場合はカッターを使わず、テープをほどくなどして分解するのがおすすめです。

テープをほどくのが難しい場合は、カッターなどで切断することもできます。
この際、エアコン側のドレンホースを切断してしまうと再利用ができなくなってしまいます。
必ず室外機側のドレンホースを切断するようにしてください。
わずかに色や材質が異なるので、見分けるようにしてください。

エアコンの再利用予定がなく、処分する予定の場合は、カッターなどでドレンホースを切断しても問題ありません。

室内機側の配管(銅管)を切断する

ドレンホースを取り外しできたら、室内機側の配管をニッパーなどで切断して取り外します。

ドレンホース同様、再利用する場合はエアコン側の配管は切断せず、室外機側の配管を切断するようにしてください。
ナット等で接続されている場合が多いので、切断する際はナットよりも10㎝ほど屋外側の部分で切断するようにしてください。

室内機を壁から取り外す

ドレンホースや配管を切断出来たら、室内機を壁から外すことができます。

室内機は高い場所にあり、危険な作業となるため、安定した脚立にのって取り外し作業を行うようにしてください。

室内機は壁に固定された据え付け板にかみ合うようにして固定されています。
取り外しはメーカーによっても方法が若干異なりますが、基本的に室内機を下から上に押し上げることで据え付け板から取り外しができます。

エアコン室内機はだいたい10kg前後あるため、取り外した際、重みでバランスを崩してしまいやすいです。
また取り外しながら屋外へ出ているホースも一緒に取り出す必要があるため、少し工夫が必要になります。
女性一人だと少し危険な作業になってしまうため、男性がいる場合は力のある男性に依頼しましょう。

またこの際、エアコン内部にたまった水が漏れ出てくることがあります。
驚いて手を放してしまったり、バランスを崩してしまわないように注意してください。

取り外したエアコンからも水が少しずつ漏れてくる場合があるため、大きめのバスタオルの上に置くなどして、床を保護するようにしてください。

据え付け板をドライバーで外す

据付板をネジで壁に固定する様子

室内機を取り外したら、壁に取り付けられた据え付け板を外します。

据え付け板はネジで固定されているので、ドライバーで一つひとつ外すことで、取り外しが可能です。
ただし、取り外した瞬間に落下する危険があるため、外す際はしっかりと押さえつけながらネジを取り外すようにして下さい。

取り外した据え付け板は、再びエアコン室内機に取り付けることで保管が楽になります。

壁の配管穴をパテ埋めする

最後に穴の開いた壁をパテ等で埋めることで、完了します。

配管パイプを養生する

最後に、残ったホースや配管の接続口をテープなどで養生してください。

先述した通り、ごみや水が入ると故障の原因となります。

取り外した室内機や配管は雨にぬれないように保管してください。

自分で取り外しせずに業者に依頼した方が良いケース

ここまでは、エアコンの取り外し方法をご紹介してきました。
しかし、基本的にエアコンの取り外しは、工事の経験のない素人の方にはおすすめできません。

エアコンの取り外し工事を誤ると、大きな事故を引き起こす恐れがあるからです。

自分でも可能ですが、とくに下記のようなエアコンの場合は専門業者へ依頼するようにしてください。

  • 屋根置き・壁面付け・天井吊り下げタイプのエアコン
  • マイナスドライバー
  • 作業スペース・撤去経路が狭い

それぞれ詳しく紹介します。

屋根置き・壁面付け・天井吊り下げタイプのエアコン

撤去の難しい位置に室外機がある場合は、非常に危険な作業になるため、専門業者に依頼してください。

下記のような場所に室外機がある場合は自分で取り外し作業を行わないようにしてください。

屋根置きタイプ
室外機が屋根上に設置されているタイプ
 高所作業となるため転落の危険がある
壁面付けタイプ
室外機が地面の上ではなく、家屋の壁面に取り付けられているタイプ
 屋根置きタイプ同様、高所作業が必要で、作業スペースも狭いため、素人が行うには危険
天井吊り下げタイプ
 室外機が天井から吊り下げられているタイプ
 作業スペースが狭く、重い室外機を取り外すために、危険な作業が伴う

作業スペース・撤去経路が狭い

地面に室外機が設置されているケースでも、作業スペースが狭かったり、撤去経路が確保できない室外機の場合は自分で取り外し作業を行わないようにしてください。

手順を紹介した通り、エアコンの取り外しには一定の作業スペースが必要です。
室内機側と室外機側を往復するため、室外機側の作業スペースを確保できていないと、作業時間がかかります。また撤去する際も一苦労となってしまいます。

専門業者に依頼した方が効率的に取り外し作業を行ってくれるので、作業スペースも見て依頼するようにしてください。

10年近く使用したエアコン

10年近く使用したエアコンも自分で取り外し作業を行わないようにしてください。

エアコンの耐用年数は10年ほどといわれていますが、部品の劣化等で、思わぬ事故につながる危険性があるからです。
手順通り作業しても、ガス漏れが生じたり、室内機が落下してきたりすることがあります。

思わぬ事故につながる恐れがあるので、10年以上の古いエアコンの取り外しは専門業者に依頼するようにしてください。

エアコンを取り外すときの注意点

エアコンを取り外す際の注意点

ここまでは、エアコンの取り外し方法をご紹介してきました。
自分で作業することも可能ですが、基本的にエアコンの取り外しは、工事の経験のない素人の方にはおすすめできません。

エアコンの取り外し工事を誤ると、大きな事故を引き起こす恐れがあるからです。

その中でも最も注意が必要なのが、エアコンのコンプレッサの破裂です。
エアコンの取り外しで、配管を締める作業を誤ったことで、室外機が破裂して家の窓ガラスが割れたり、作業をしていた方がけがをしたりしたというケースが、2010~2013年の間に4件も報告されています。(事故情報データバンクより)

また、エアコンのコンセントといった電気系統の工事を行うには、電気工事士の資格が必要です。
ここまででご説明した工事以外の電気工事が必要になる方は、工事業者への依頼をお願いします。

業者にエアコン取り外しを依頼する際の費用

工事業者のエアコンを取り外し工事の費用相場

エアコン取り外しを工事業者に依頼する場合の費用は以下のとおりです。

エアコン取り外しの費用相場 6,600円~13,200円(税込)

また、新しくエアコンの購入する予定がある方は、家電量販店にエアコンの取り外しを依頼することもできます。

エアコン取り外し費用の相場

まとめ

ここまで、エアコンの取り外し作業について解説しました。

全体の流れをまとめると下記の通りとなります。

<自分でエアコン取り外し作業を行う方法>

  1. エアコンの搬出経路を確保する
  2. 室内機の下に養生マットを敷く
  3. 室外機の側面カバーをドライバーを使って開ける
  4. ポンプダウンで冷媒ガスを回収する
  5. 電源プラグをコンセントから抜く
  6. 外したバルブキャップを付け直す
  7. 室外機を取り外す
  8. 室内機を取り外す
  9. 配管パイプを養生する

エアコン取り外し作業は自分でも40分から1時間で可能です。

しかし中には危険な作業も含まれるため、基本的には専門業者への依頼がおすすめです。

下記から取り外し工事の無料見積もりが可能なので、「自分でやるのは難しそう」と感じた方は依頼してみてください。

<全国のエアコン取り外し業者一覧>

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自分でエアコンを取り付けるために必要な14の作業

自分でエアコンを取り付けるために必要な14の作業

新しいエアコンを購入した場合、エアコンの取り付けは専門の工事業者に依頼するのが一般的ですが、取り付け工事の費用は1~2万円が相場です。決して安くはない金額のため、エアコンの取り付けを自分で行い工事費用を節約する人もいるようです。
とはいえ、自分でエアコンを取り付ける作業内容は非常に専門的で情報も少ないのが現状です。
そこで今回は、エアコンの取り付け工事を検討している人に向けて、「自分でエアコンを取り付けるために必要な14の作業」を紹介します。
実際に自分で取り付け工事を行う際には、専門の資料などを参考に作業をしてください。

エアコン取り付けに必要な機材

取り付け工事に必要な機材

エアコンを自分で取り付けるには、いくつかの機材が必要です。
機材には「レンタルした方が良い工具」「購入したほうが良い工具」「購入が必要な部材」がありますので、順に紹介していきます。

レンタルしたほうが良いエアコンの取り付け機材

レンタルで用意したほうが良いエアコン取り付け機材・設備は以下の通りです。
これらの工具は家電製品の電気工事以外の用途で使用する機会が少ないため、レンタルで必要な道具を安く調達して費用を抑えましょう。

レンタルする機材 機材の主な用途
トルクレンチ 冷媒配管の接続
電気ドリル エアコン据付板の固定
コアドリル 室外機と室内機をつなぐ壁の穴あけ
エアコンダクトカッター 化粧カバーの切断
フレアツール(またはガス溶接機) 配管のフレア加工
真空ポンプ 真空引き(エアパージ)
真空ゲージ(ゲージマニホールド) 真空引きのチェック
リーマー 銅管のバリ取り
パイプカッター 配管パイプ、銅管の切断

なお、ヤフオク!などでは真空引きキットとして、真空ポンプやゲージマニホールドをセットで貸し出していることがあります。
【ヤフオク! 真空ポンプレンタル】

他にも、以下のサイトでも機材のレンタルが可能です。

購入したほうが良いエアコンの取り付け機材

クーラーをDIYで取り付ける際に、購入したほうが良い機材は以下の通りです。
中古のものを選べば、激安価格で機材を購入することも可能です。

購入する機材 機材の主な用途
ドライバー ネジ締め
ペンチ・ニッパー 電線ケーブルの接続部の皮むき
モンキーレンチ 配管のフレアナットの締め付け
六角棒レンチ フロンガス解放時の室外機の弁棒の開閉
両口スパナ 冷媒配管の接続
パイプベンダー 配管パイプの折り曲げ
ガス漏れ検知器 ガス漏れの点検

購入が必要なエアコンの取り付け部材

標準工事の方法でエアコンを取り付ける際に必要となる部材は以下の通りです。
これらの部材は消耗品です。
クーラーの取り付け工事を始める前に、ネット通販などで事前にそろえておきましょう。

購入する部材 機材の主な用途
プラブロック(据置台) 室外機の設置
配管パイプ(別名:被覆銅管ペアコイル) 冷媒の配管(新冷媒R410Aに対応したもの)
ドレンホース ドレン水の排水
化粧カバー(別名:スリムダクト) 施工後の配管のカバー
配管テープ 化粧カバーの代用
貫通スリーブ 部屋の壁にあけた穴の保護
エアコン配管用パテ 部屋の壁にあけた穴からの雨・風の侵入防止
渡り配線用の電線 室内機と室外機の端子台に接続
(長さが足らない場合は延長用も必要)
ボードアンカー エアコン据付板の取り付け
アース棒、アース用ネジ、アース線 漏電、感電対策のアース工事

空調機器のアース工事を行うには、電気工事士の資格が必要な場合があります。
アース工事が必要な方は、経済産業省が発行している「電気工事士法におけるエアコン設置工事の取扱いについて(Q&A)」で、ご自宅の工事に資格が必要かを調べましょう。

また、アース工事は、感電のリスクを伴う危険な作業です。
資格が必要な作業を行う場合は、必ず専門業者に依頼してください。

ここまでが、エアコン取り付け工事に必要となる機材・部材です。

これらを全て買い揃えるとなると、総額およそ2万円程度が必要になります。

そうすると、工事業者に依頼した方が割安にエアコンを取り付けることができます。
現段階で工事機材の大半もお持ちでない方は、一度エアコン工事業者に見積もりを依頼してください。

エアコン取り付けの見積もりを依頼する

エアコンの配管パイプ用の穴をあける

壁の穴あけ

エアコン取り付け工事は、室外機と室内機をつなぐ配管の穴を開ける事からスタートします。
賃貸だけではなく、新築一戸建てでも既に配管用の穴が開いている事が多く、その場合は穴あけが不要なため、事前に確認しておきましょう。

配管パイプを通す穴が部屋にない場合は、コアドリルというツールを使って家の壁に穴をあけます。
ただし、穴あけ工事は失敗した場合、大切なご自宅を傷つけてしまいます。
穴あけ作業に慣れていない方は、専門業者に依頼するようにしましょう。
穴あけ工事の失敗により、配線を切断したり、ガス管などを傷つけたりした場合には、修理業者に工事を依頼しなければなりません。壁の中に電線や梁、柱などが無い場所を選んで慎重に穴あけ工事を行いましょう。

仮に失敗してしまい、業者に穴の修復を依頼した場合の料金相場は以下の通りです。

壁穴修理 1.6〜3.3万円(税込)
クロスの張替え(20平米) 2〜3.3万円(税込)

出典:reform-market.com

また、穴あけ工事に使うコアドリルは住宅の壁の材質によって使い分ける必要があります。
家の壁が木造か、鉄骨か、コンクリート、または土かなどを確認して、材質にあわせたコアドリルを選んでレンタルしてください。

クーラーの配管用の穴あけ施工が完了したら、虫の侵入や雨風による劣化を防ぐため、貫通スリーブを設置して配管用の穴あけは完了です。

エアコンの据付板を取り付ける

据付板の取り付け

次はエアコンの据付板の設置です。
据付板とは、室内機を壁に固定するための背板です。
据付板は、先ほどのDIYで壁に開けた穴に対して右上、または左上の位置にネジを使って家の壁に固定します。

貫通穴はエアコンの裏に隠しても、壁に露出していても構いません。
貫通穴をエアコンの裏に隠したい方は、穴開け位置が据付板の下辺のくぼみに収まるように、据付板を設置しましょう。

穴が露出している場合も、エアコン取り付けの最終段階(配管パイプを通し、フレア加工、真空引き、ポンプダウンや室外機のバルブ接続等の作業が終わった後)で、パテという粘土状の部材で穴埋めを施すため、心配する必要はありません。

据付板を自分で取り付ける上での注意点は、地面に対して水平に設置することです。
水準計などの専用の道具を使って据付板が水平かを確認し、取り付け位置を決めましょう。
水準計は気泡を使ったタイプのものがおすすめです。
使い方が簡単なので素人でも水平の確認がしやすく、激安のものは1,000円程度で用意できます。

据付板の取り付け場所が決まり、水平を確認したら、ネジを工具で留めて据付板を固定します。
ただし、壁の材質・材料によって据付板の施工方法は異なりますので、壁材に合った方法・手順での据え付けが必要です。

  • 木材の場合・・・ネジを5本以上使って電動ドリルで固定する
  • 石膏ボードの場合・・・カサ式のボードアンカーで固定する
  • 土壁、じゅらくの場合・・・壁に縦桟という細長い建具を設置してから取り付ける
  • しっくいの場合・・・漆喰の壁に合板の下地を作り、その上に石膏ボードを貼って据付板を取り付ける
  • 鉄筋コンクリートの場合・・・据付板にグリップアンカー、またはオールアンカーを打ち、ボルトかナットで固定する

背板が壁にしっかりと固定されたら、据付板の取り付け工事は完了です。

配管接続中の室内機

エアコン工事業者が据付板を取り付ける様子は、こちらの記事からご確認ください。
▼参考記事
エアコンの取り付け方:3.据付板の設置

次にルームエアコン本体を壁に取り付ける準備とします。
電気接続用の電線ケーブルの銅管のカバー部の皮むきを行い、フロントパネルと端子台カバーを外した室内機に配管とVVFケーブルを取り付けていきます。

取り付けが完了したら、配管は先ほど開けた穴を通して、部屋の外に出しておきます。
エアコンの配管は凹みやすい構造になっております。折り曲げる際には配管をつぶさないよう注意して行いましょう。

エアコンの室内機を取り付ける

据付板にエアコンの室外機を引っ掛ける様子

先ほど壁や石膏ボードに固定した据付板に室内機本体を引っ掛けます。
最後に据付板のツメを室内機にしっかりと掛けたら、室内機の取り付け工事は完了です。

この時、据付板の固定やツメの引っ掛けに失敗していると、室内機が落下する恐れがあるので、室内機を落として、故障させることのないよう注意して進めましょう。

室内機が壁に掛かったら、スポイト等を使って、室内機の露受け皿に水を流してください。
室外に出した排水ホースから水が出れば、室内機と排水ホースの接続は成功です。

また、室内の配管が露出しており、お部屋のインテリアが気になる方は、化粧カバー(別名:スリムダクト)を取り付けけることをおすすめします。
化粧カバーを使うと、エアコンの配管が隠れるため、見た目が美しく仕上がります。
ご家庭のリビングや和室など、エアコンを使う場所の壁の色に合った化粧カバーを選びましょう。

次は真空ポンプ等の工具を用いて、室外機をDIYで施工する手順と方法をご説明します。

フレア加工を配管パイプに施す

室外機を部屋の外の設置場所に置き、配管パイプを切断してフレア加工を施します。
上の動画は、空調機器メーカーのBBKテクノロジーズがDIYでフレア加工を行う手順を説明したものです。

フレア加工とは、配管パイプの中にある銅の管の端部を、ラッパ状に広げる工事のことです。
フレア加工を行うことで、配管パイプが正しく接続できるようになります。

エアコンの配管パイプを切断し、リーマーという工具を使ってパイプの銅管の内側に付いたバリをきれいに取り除きます。
切断した配管パイプには、フレアツールを使ってフレアナットを取り付けましょう。

フレアツールには、手動のものと電動のものがあります。
手動用のフレアツールを使用する場合は、カチッという音が鳴るまでハンドルを回すことがポイントです。
配管パイプの銅の管の部分にラッパ状の広がりができれば、フレア加工は完了です。

フレア加工をする際の注意点は、配管の中に水が入らないようにすることです。
配管の中に水滴が入ると、室外機の内部をガスで満たすことができなくなり、空調の電力効率が低下する恐れがあります。

また水に濡れてしまうこと防ぐために、雨の日に作業を行う場合は、部屋の中での作業をおすすめします。
やむを得ず外で作業する場合は、屋根のある場所で、雨や風に注意しながら作業しましょう。

フレア加工を行ったら、切断面を確認します。
配管パイプの接続部が以下のように汚れたり欠けたりすると、配管が正しく接続できません。

<フレア加工の悪い例>
フレア加工の失敗例
出典:bbk.co.jp

フレア加工に失敗した場合は、銅管ケーブルを切り落とし、もう一度同じ方法・仕方で加工を行い、きれいなラッパ状の端部のものに交換します。

フレア加工が成功して、配管接続の用意が整ったら、クーラーの移設・取り付けとアース線の工事を進めましょう。

▼参考記事
エアコンの取り付け方:4.配管のフレア加工

冷媒配管をトルクレンチで接続する

冷媒配管の断面

室内機側と室外機側の冷媒の配管パイプを接続します。

先ほど加工した配管のフレア部分をつぶさないように気をつけながら、スパナやトルクレンチなどの工具を用いてしっかりとフレアナットを締めましょう。

この時、冷凍機オイルをフレア部分とナットに塗布しておくと、摩擦が軽減し、スムーズに締めることができます。
配管パイプを接続する際の締め方が緩い場合、空調機の冷媒ガスが漏れる原因となりますので注意してください。

また、冷媒配管の施工を誤ると、ガス漏れを引き起こし、エアコンの効きが悪くなります。
空調設備の冷媒配管接続工事を行う時は、経済産業省特許庁にも促進されている、冷媒配管施工の三原則に注意しながら行いましょう。

  • 乾燥(ドライ)・・・内部に水分がないこと
  • 清潔(クリーン)・・・内部にゴミがないこと
  • 気密(タイト)・・・冷媒の漏れがないこと

出典:dl.mitsubishielectric.co.jp

接続したダクトには、化粧カバー(配管テープでも代用可)を取り付け、壁に据付けます。
次は、ドレンホースの接続を行います。

ドレンホースを接続する

室外機側のドレンホース

室外機の脚部にプラブロックを取り付けたら、エアコンの排水を通すためのドレンホース接続します。
ホースの端は、ドレン水が出ても良い場所(ベランダの排水溝の穴など)まで伸ばしましょう。

この時、ホースの長さが足らない場合は、アロン化成などが販売するドレンホースジョイントという継手部品と接着剤を使用してホースを延長します。

ただし、ホースの材質によって、使用できる接着剤は異なります。
塩ビパイプ用接着剤を使う場合は、対応していない材質のホースもあるので、特に注意が必要です。

ドレン排水はエアコンパーツの中でもトラブルが起こりやすい箇所の一つです。
ドレン管が原因となる主なトラブルと、自分で修理する場合の器材の使い方を紹介していきます。

ドレン管のトラブル①エアコン室内機からポタポタと水が落ちる

室内機からポタポタと水が落ちる原因の一つが、ドレンパイプ内の詰まりによる劣化です。
これを解決する器材がタスコユーシー産業から販売されているサクションポンプです。

ポンプから空気を送り出し、パイプ内につまったごみを掃除して、水の流れを正常化させます。

ドレン管のトラブル②エアコンからの害虫の侵入を防ぐ

エアコンは害虫の侵入ルートの一つです。
ドレン管の端から室外機の内部に侵入し、配管パイプを通ってから部屋の中に害虫が入ってしまうことがあります。
その対策となるのが、ドレンキャップです。

因幡電機産業などのメーカーで製造・販売されており、ドレンホースの端にこのパーツを取り付けることで、害虫の侵入を防ぐことができます。

ドレン管のトラブル③ドレンホースからポコポコと音がする

ドレンホースからのポコポコという音は、主に気圧差によるものです。
この気圧差を解消するのが、消音用逆止弁(エアカットバルブ)です。

代表的な商品としては、因幡電機産業が製造している「おとめちゃん」などが挙げられます。

上記の部材はすべてAmazonモノタロウといった通販サイトでも低価格で買うことができます。
DIYでも簡単に取り付けることができるので、ドレン排水でお困りの方は使用を検討して下さい。

室外機側の配管を接続する

室外機の配管を接続する様子

ルームエアコン室外機の配線・ケーブルのカバーとバルブキャップ、フレアナットを外し、部屋の中の室内機から伸ばした配管を室外機の本体機器に取り付けます。

冷媒配管を室外機のサービスポートまで伸ばし、設置に不要な部分をカットします。
この時、配管の切断部には、先ほどと同様の方法でフレア加工を施し、仕上げに冷媒機油を塗っておきましょう。

DIYで冷媒配管を室外機に取り付けける時の注意点は、接続するバルブを間違えないようにすることです。
空調機のバルブキャップには受け側(冷媒を受けとる)と送り側(冷媒を室内機に送り出す)があります。
パイプの太さをチェックしながら、トルクレンチ等の道具でフレアナットを締め付けて接続していきます。

冷媒配管の接続工事が正しく行われていないと、空気が漏れて、真空引き(エアパージ)を正しく行うことができません。

フレアナットの締め付け完了後には、接続不良がないか、自分でしっかりと点検しましょう。

真空ポンプで真空引き(エアパージ)をする

真空引きをする様子

続いて、真空引き(エアパージ)の手順を説明します。真空引きとは、気密レベルを上げることで、部屋の中から伸ばした配管と室外機の内部を乾燥状態にするための処理を指します。

エアコンは室外機内部に水滴などが付着していると、フロンガスを補充した際に、ガスの性能が低下します。
その結果、エアコンの電力効率低下で室内機の吹き出し口から冷たい風を送れなくなったり、故障を引き起こしたりします。

真空引きによって水分を取り除くことで、クーラー使用時に必要な電気を最小限に抑えることができるので、この真空引きはエアコン取り付け工事の中でも重要な工程です。

下の動画は、空調機器メーカーのBBKテクノロジーズが真空引き方法を説明したものです。

室外機のサービスポートにコントロールバルブチャージホース(バキュームホース)、そして真空ゲージ(またはゲージマニホールド)の工具を取り付けます。
ツマミを回して、真空ポンプの電源を入れると、真空引き(エアパージ)が開始します。

真空ゲージのゲージ圧が-0.1MPaになるのを確認し、15~20分程度の時間、運転を続けます。
この時、ゲージ圧の数値が変動しない場合は、冷媒配管の接続部から空気が漏れている可能性があります。

フレア加工の処理に失敗していないか、冷媒配管のトルクレンチでのナットの締め付けがゆるくなかったか、などこれまでの手順を確認してみましょう。

▼参考記事
エアコン取り付け工事の真空引きは必要なの?

真空、ガス漏れを確認する

真空ゲージの確認

真空引き(エアパージ)が完了したらバルブの締め付けとガス漏れがないかチェックを行います。
15分以上の真空ポンプの運転が終わったら、真空ゲージの針を見てください。

ポンプ側のバルブを閉めてから5~10分程度放置しても、ゲージ圧が動かないようであれば、真空・ガス漏れがないことが確認できます。

真空ゲージの針が下がってしまう場合は、冷媒配管の接続失敗による空気漏れが発生している可能性があります。
その場合は、真空キットをつけたまま、配管加工部(フレアーナット接続部)に石鹸水を塗布しましょう。
ガス漏れが起こっている箇所が泡立ち、簡単に原因箇所を特定できます。

具体的な手順・方法は三菱電機スリムエアコンの施工マニュアルをご確認ください。

トルクレンチによる接続部の締め付けが不十分なために、ガス漏れが起こる失敗が多く発生します。
DIYでエアコン取り付けを行う場合には、特に注意が必要です。

冷媒ガスを解放する

冷媒を解放する様子

真空引き(エアパージ)の作業が完了したら、サービスポートから真空ポンプ・真空ゲージを取り外し、室外機の細い管(二方弁)、太い管(三方弁)を順に緩めて、冷媒を解放し、エアコン配管内にフロンガスを充満させます。

上記の行程で冷媒の充てんが完了したら、ナットでパルプキャップを締めます。

万が一、ガスが漏れてしまった際には、早急にバルブを締めて、これまでのエアコン取り付け工事のやり方で誤った点がなかったかを点検して失敗箇所を確認しましょう。

フレア加工やトルクレンチの締め付けの施工から見直すことをおすすめします。

渡り配線を接続する

室外機にVVFケーブルを接続する様子

室内から伸ばした渡り配線の皮を剥ぎ、室外機の端子台に電線をつなぎます。

渡り配線(VVFケーブル)の太さは、室内機から室外機にわたす電線の長さによって異なります。
例えば、富士通ゼネラルのAS-GN56G2Wでは太さ2.0mmのものが使われています。

パッケージエアコンか、マルチエアコンか、そしてエアコンのメーカー・機種によって、対応する電線の太さ異なる可能性があります。
接続前にお部屋のエアコンにあった電線を調べておきましょう。

端子台の穴に渡り配線の銅線がつなげたら、端子台用のカバーを取り付けます。
これで室外機本体の配線接続工事は完了です。

この工事が完了すると、室外機に電気が通り、電源を入れてクーラーを使用できるようになります。
仕上げに配管・ドレンホースの位置を整えて据え付けます。

配管接続部分を点検する

室外機の配管確認

これまでの作業では、エアコンの渡り配線、ドレンホース冷媒配管を接続しました。
エアコン室外機の設置工事の機器点検として、以下の事項をチェックしていきます。

  • 電源ケーブルが室外機の電気プラグに接続されているか
  • ドレンホースの口は水が流れても良い位置に設置されているか
  • 空調の冷媒配管は適切に施工されているか
  • 室外機の二方弁、三方弁はゆるめられているか

上記の項目を確認したら、室外機の取り付け工事の点検は完了です。

パテ埋めを配管穴に施す

壁の穴のパテ埋め

室外機の取り付けが完了したら、室外機と室内機をつなぐために壁にあけた穴を通から、雨・風や虫などが侵入するのを防ぐため、穴の隙間をパテで埋めます。

エアコン配管用パテには、不乾性の粘土状のものや、シリコン、接着剤メーカーのセメダイン株式会社が販売している「すきまパテ」など様々な種類がありますが、使い方・付け方はどれも大きな違いはありません。

冷媒ガスのダクト配管や電線ケーブル、ドレンホースを通した壁の穴に、パテをつけて隙間をふさぎます。
粘土状のパテはシール材になっているため、パテをこねてから穴にかぶせて取り付けましょう。

エアコンのパテは、時間が経過すると劣化するため定期的に補修工事が必要です。
最も一般的な粘土状パテは、安いものでは100円未満で購入できるので、古くなったパテは取り外し、新しいパテに交換して、クーラーを快適に使いましょう。

エアコンの試運転を行う

試運転の時のチェック事項

最後にクーラーの試運転をします。
運転状況をチェックするポイントは以下のとおりです。

  • 冷房、暖房運転時にエアコンの吹き出し口から風が出ること
  • 室内機の露受け皿に水を流すと、ベランダのドレンホースから排水が流れること
  • 室外機に電気が届き、ファンが回ること
  • 冷房運転時、室内機の熱交換器が冷えていること
  • 一定時間の運転を続けて、室内機からポタポタと水滴が落ちてこないこと

以上の方法で問題がなければ、エアコン取り付け工事は完了です。

上記のやり方で何か問題があった場合は、これまでの手順を見直し、原因箇所を探して設置し直しましょう。

ただし、真空引きやポンプダウンに問題があった場合は、フロンガスの補充が必要になります。
その状況を放置すると、電気代が割高になったり、エアコンが故障したりする可能性があるため、専門の業者に相談してください。

DIYと工事業者でのエアコン取り付け費用の比較

取り付け費用の比較

以上の手順でエアコン取り付けを行うにあたり、かかった費用は以下のとおりです。

エアコンのDIY取り付けにかかる費用

エアコンをDIYで取り付けた際にかかった費用は以下のとおりです。
下記のものはすべて、2016年10月12日時点に筆者が見た中で最安値だったものを選んでおります。

<レンタルの機材にかかった費用>

レンタルする機材 料金
トルクレンチ 1,029円
電気ドリル 250円
コアドリル 2,000円
エアコンダクトカッター 3,400円
フレアツール(またはガス溶接機) 1,000円
真空ポンプ 1,000円
真空ゲージ(ゲージマニホールド) ※真空ポンプとセット
リーマー ※フレアツールとセット
パイプカッター ※フレアツールとセット

<機材の購入にかかった費用>

購入する機材 料金
プラスドライバー 42円
マイナスドライバー 40円
ペンチ・ニッパー 1,000円
モンキーレンチ 98円
六角棒レンチ 100円
両口スパナ 130円
パイプベンダー 646円
ガス漏れ検知器 2,800円

<部材の購入にかかった費用>

購入する部材 料金
プラブロック(据置台) 182円
配管パイプ(別名:被覆銅管ペアコイル) 2,980円
ドレンホース 355円
化粧カバー(別名:スリムダクト) 496円
配管テープ 289円
貫通スリーブ 203円
エアコン配管用パテ 71円
渡り配線用の電線 171円
ボードアンカー 1,390円

<費用合計>

機材のレンタル費用 8,679円
機材の購入費用 5,045円
部材の費用 6,137円
合計 19,861円

エアコン取り付け業者にかかる費用

それに対して、エアコンの取り付けを専門業者に依頼した場合の費用相場は以下のとおりです。

<エアコン取り付け工事の費用相場>

新品エアコンの費用相場 15,400円~19,800円(税込)
中古エアコンの費用相場 7,700円~16,500円(税込)

上の表から、機材・部材を自分でそろえてエアコンを取り付けた場合も、専門業者に依頼した時とほぼ同程度の費用が必要なことがわかりました。
1台のみの取り付けであればエアコン取り付け工事の専門業者に依頼する方が良いでしょう。

専門業者に依頼をすると、工事後の施工保証が付けられる可能性もあります。

2台以上の取り付けであれば、自分で工事をした方が工事費を節約できる可能性が高いです。
機材をすでに揃えており、エアコンを自分で取り付ける方は、必ず各メーカーが発行する据付工事説明書と取扱説明書、そして経済産業省が紹介する「空調設備の施工技術」などをよく読んでから、取り付け作業を行いましょう。</a href=”https:>

また、エアコンの工事内容はメーカー・機種によって異なる場合はありますので、工事前に必要な作業内容をしっかり確認しましょう。
いずれにせよ、工事作業に慣れていない方は、取り付け工事を専門業者に依頼することをおすすめします。

激安のエアコン取り付け工事業者を探す方法

自分でエアコンを取り付けるのが心配な場合は、専門の工事業者へ依頼しましょう。
エアコン取り付け工事の料金は施工業者により異なります。
激安料金でエアコンの取り付け工事を行いたい場合には、複数の工事業者の見積もりを集めて料金を比較することで最安値の業者を見つけることができます。

<最安値のエアコン取り付け業者を探す方法>

最安値のエアコン取り付け業者の探す方法

この見積もり方法を行うには、工事を希望している地域に対応した施工業者を探した後に1社ずつ電話で見積もりの依頼をする必要があります。
1社の見積もりに15分以上かかるとしたら4社から見積もりを取るには少なくとも1時間必要となります。

当サイトはエアコンの取り付け工事にかかる費用を複数の施工業者に対して一度に見積もりを依頼する事ができます。
依頼した工事の見積もりの料金は当サイトに集められ最安値の施工業者をお客様にご案内いたします。
一括見積もりは24時間【無料】でご利用いただけます。安くエアコン取り付け工事をしたい方は是非ご利用下さい。

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