エアコンの取り付け方:4.配管のフレア加工

フレア加工は、冷媒ガスを室内機と室外機に循環させるための重要な作業です。

フレア加工が正確にできていないと、冷媒ガス漏れやエアコンの故障の原因となります。
必要な工具をきちんとそろえ、手順どおりに慎重に作業を進めてください。

フレア加工とは

フレア加工とは、配管パイプの中にある銅管の端をラッパ状に広げる作業を指します。

配管パイプとその中の銅管

エアコンの室内機と室外機をつなぐ配管パイプを正確に接続するために行います。

エアコンの配管は、フレア加工でラッパ状に広げた銅管の口でもう一方の銅管を包み、さらに上からナットで接続部分を押しつぶすことで、隙間なく接続される仕組みになっています。

フレア部分で包んで配管を接続するイメージ

しかし、フレア加工が上手くいっていないと、配管のつなぎ目に隙間ができ、そこからエアコンの冷媒ガスが漏れ出てしまいます。
その結果、エアコンの電力効率が低下してしまいます。
エアコンを正常に運転させるために、フレア加工の作業は細心の注意を払って行いましょう。

ここからは、フレア加工の作業に必要な工具をご紹介します。

エアコン配管のフレア加工で使う工具

フレア加工に使用する工具

フレア加工の作業に必要な工具は以下のとおりです。
フレア加工は繊細な作業なので、正常に使える工具を揃えた上で作業を進めることが重要です。

工具名 説明
チューブカッター 配管パイプをカットするためのツール
リーマー バリ除去のためのツール(金属用のヤスリでも代用可能)
ナット ボルトとかみ合わせて配管をつなぐ指輪上の金属部品
フレアツール 配管のフレア加工をするためのツール

フレアツールには電動タイプもあります。
労力が軽減され、効率よく作業が進められるように思えますが、意外に加減が難しく、手順に沿った作業をしても正確なフレア加工ができない場合があるようです。
DIYでフレア加工をする場合は、手動タイプの使用をお勧めします。

DIYでフレア加工をする方法

DIYでフレア加工した後の配管

自分でフレア加工をする際の作業手順をご紹介します。
ケガを防止するために、素手ではなく軍手を装着して作業に取り掛かってください。

①配管のサイズを確認する

配管の太さをチェックする

取り付けをするエアコンの配管のサイズを確認します。

フレアツールのクランプバーには、複数のサイズの配管穴があり、正しいサイズの穴に配管を取り付けなければフレア加工ができません。

家庭用エアコンの配管サイズは、基本的に2分3分2分4分の2つの種類があります。
配管の正しいサイズを把握しておかないと正確なフレア加工ができないので、フレア加工を始める前に配管のサイズを確認します。

エアコンの配管パイプについて、詳しく調べたい方はこちらをご覧ください。
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エアコン取り付け工事で必要になる配管パイプの3つの追加工事

②チューブカッターで銅管を水平にカットする

チューブカッターで配管を切断する様子

銅管の必要な長さ(寸法)を取り、チューブカッターで水平にカットします。
水平にカットしないと、フレア加工も歪みます。
歪んだフレアで配管を正しく接続することはできないので、正しくフレア加工できるように水平にカットしていきましょう。

カッターの回転が速かったり、回す回数が多かったりすると配管がつぶれてしまいます。
水平な切り口にするために、カッターはゆっくり回します。

③リーマーやヤスリでバリ取りをする

バリ取りに使用するヤスリ

リーマーというツール、またはヤスリなどを使って、銅管の端に出たバリを除去します。

バリがあるときれいな真円状のフレアが作れません。
エアコンの冷媒ガスを正常に循環させるために、フレアはバリのない真円状でなくてはなりません。

リーマーで取れないバリは金属用ヤスリを用いて取り除きます。
バリ除去の作業では銅管の内側に金属粉が入り込まないよう注意します。
金属粉が内側に入り込んでしまった場合は、フレアガードという専用薬剤を綿棒に染み込ませて拭き取ります。

④フレアツールのクランプバーに銅管を挟む

フレアツールのクランプバーに銅管を挟む様子

フレアツールのクランプバーに開いている穴に、銅管のサイズと出し代を確認して銅管を挟みます。

クランプバーの穴と配管の寸法が合わないと、真円状のきれいなフレアができません。
フレアが歪んだり、サイズが小さすぎたり大きすぎると正確に配管接続ができず、冷媒ガス漏れの原因となりエアコンの動作不良を招きます。

クランプバーの穴に銅管を差し込むときは、銅管が穴から少し飛び出している状態で差し込んでください。

銅管の飛び出し具合(出し代)によって、フレアの広がりの大きさが変わります。
ただし、フレアツールのメーカーによって、適切な出し代の大きさが異なります。
取扱説明書で出し代を確認してから、サイズにあったクランプバーの穴に銅管を挟みましょう。

⑤フレアツールのコーンを所定の位置に合わせて固定する

フレアツールを銅管に合わせる

銅管が差し込まれたクランプバーに、フレアツールのコーンを合わせて固定します。
コーンの固定は、真円状のきれいなフレアを作るために重要な作業です。

固定がゆるいときれいなフレア加工ができません。フレアツールのコーンを所定の位置に合わせたらしっかり固定しましょう。

⑥ハンドルを回し、銅管をラッパ状に広げる

銅管の口にフレアを作る

フレアツールのコーンを固定したら、ハンドルを回し銅管をラッパ状に広げます。

カチッと音がしたら、締め付けができた合図です。そこからさらに2~3回ほどカチカチ鳴らして締めると作業完了です。

フレアツールを外したら、配管のフレア部分を確認してください。
光沢のある真円状のフレアができていれば、フレア加工は成功です。

フレア加工後の注意点

フレア加工の作業が完了したら、最後にフレアが正しくできているかを確認してください。
その際に注意すべき点は以下の3点です。

①フレア加工後のカット面が垂直になっているか

フレア加工をした後の配管の切り口

フレア加工後、銅管のカット面は垂直になっているでしょうか。
フレアと接続する配管のボルトと正確にかみ合わせるために、銅管のカット面は垂直でなくてはなりません。

②フレアの大きさは適切か

フレアの大きさが配管の接続に適した大きさであるか確認しましょう。
フレアが小さいと正しい配管接続ができず、冷媒ガスが漏れます。
また、反対にフレアが大きすぎるとナットが通らないので、配管のボルトと接続ができません。

小さすぎるフレアと大きすぎるフレア

③バリや傷・割れがないか

出来上がったフレアにバリや傷、割れがないかを確認します。
バリや傷、割れがあるフレアは、冷媒ガス漏れやエアコンの機能障害につながるので、配管接続には使えないからです。

フレアのバリ、傷、割れのイメージ

フレア加工に失敗したら、また銅管の端をチューブカッターで切り落とし、再度フレア加工を行って下さい。
フレア加工を誤った状態でエアコンを取り付けると、エアコンの冷媒ガスが漏れ出す可能性があるからです。

また、フレアはバリだけでなく、ホコリといった異物が入り込むことも厳禁です。
フレア加工はホコリが立たず、雨風の影響を受けない環境を確保して行いましょう。

ではフレア加工が完了した方は、完成したフレアを室内機の配管と取り付けましょう。