エアコンを取り付ける作業にはいくつかありますが、その一つに、エアパージという作業があります。
エアパージは、エアコンを長く快適に使用するうえで欠かせません。
今回は、エアコンを取り付ける際に行う、エアパージについて見ていきたいと思います。
エアパージとは
エアパージとは、エアコンを取り付けた後、室外機の中にガスを流して、配管内に残っている空気や水分を追い出す作業のことです。
一般的に、真空ポンプを使った真空引きに対して、真空ポンプを使用せず、ガスを用いて空気を抜く作業を指すことが多いです。
なぜこの作業を行うかというと、エアコンの内部を冷媒ガスだけで満たすためです。
エアコンを順調に稼動させるためには、エアコンの内部は、冷媒ガスだけの状態でなくてはなりません。
エアコンの配管の中に空気が残ったままで稼動させると、冷媒ガスの濃度が下がり、エアコンの運転効率が低下を引き起こす原因になります。
また、配管内に水分が残っていると、配管を詰まらせたり、傷をつけたりする可能性があります。
エアパージは、エアコンを長く快適に使用するために重要な作業なのです。
それでは次の章で、室外機のガスを利用して配管内の空気を外に出すエアパージと、真空ポンプを使って配管内を真空にする真空引きの2つの方法について説明していきます。
エアコンを取り付けるためのエアパージの方法
エアパージの方法には、大きく分けて二通りあります。ガスを利用した方法と、真空ポンプを利用した真空引きです。
それぞれの内容についてご紹介します。
エアコン内部の冷媒ガスを利用して空気を追い出す
この方法を用いることで、エアコンの室外機内部に入っている冷媒ガスを利用して、配管内に残っている空気を追い出すことができます。
作業手順は以下のとおりです。
- エアコンを取り付け後、室外機のサービスポートのついていない方(二方弁・細い配管側)のバルブに六角レンチを差し込む
- 90度バルブを開けて約6秒後にバルブを閉める
- その後、サービスポート(三方弁・太い配管側)のムシ(押すとガスが出る部分)を六角レンチ等で押し、配管内の空気を全部出す
- その後両方のバルブを開ける
ただし、この方法を頻繁に行うとエアコン内のガスが減ってしまいます。
ガスが減るとエアコンの冷えは悪くなるので、後になって、ガスの残量確認や充填といった作業が発生します。
そうならないよう、作業を進める際は注意が必要です。
外部のガスを利用して配管内から空気を追い出す
この方法はエアコンを取り付けた際、外部にガスボンベを設置して、配管内の空気を追い出すエアパージの方法です。
作業手順は以下のとおりになります。
- エアコン室外機のサービスポート(三方弁・太い方の配管)にボンベを接続し、室外機内にガスを注入する
- 反対側のパイプ(二方弁・細い方の配管)のフレアナットを緩め、空気を追い出す
作業の際は、以下の2点に注意しましょう。
【外部のガスを利用して配管内から空気を追い出す際の注意点】
- 作業に取り掛かる前
- 使用するガスボンベは、エアコンで使用されている冷媒ガスと同じ種類のガスが入っているボンベを用意する。ガスの種類が異なると、2種類のガスが混じってしまい、エアコンの稼動に不具合を起こす原因となってしまうため。
- ガズボンベを取り付ける時
- パイプのフレアナットを緩めておく。頻繁にフレアナットを開け締めすると、ガス漏れの原因となるため。
外部のガスを利用して、配管内から空気を追い出す方法を行う際は、同じ種類のガスを使用し、パイプのフレアナットをあらかじめ緩めておきましょう。
真空ポンプを使った真空引きの方法
真空引きという作業は、真空ポンプという専用機材を使用して、エアコンの内部の空気を抜く作業を指します。
この方法はガスを利用した方法に比べて、エアコン内の不要物をより速やかに除去することができ、エアコンの室外機内を高い真空状態に保ちます。
このような理由から、真空引きの作業では主に手動式ではなく、馬力の強い電動式の真空ポンプが使用されます。
なお、エアパージの詳しい手順や情報は、【エアコン取り付け工事の真空引きは必要なの?】に記載されています。
こちらをご覧下さい。
エアコンの取り付け時に自分でエアパージをする際のデメリット
これまで説明してきたように、エアパージには大きく分けて2つの方法があります。
- ガスを利用した方法
- 真空引き
しかし、いずれの方法にしても、DIYでの作業はお勧めできません。
なぜなら、エアコンを取り付ける時に自分でエアパージを行うと、以下2点の問題が起こるからです。
- エアコン内部の冷媒ガスを外に放出してしまう
- エアコン内部に混入した空気を完全に除去することができない
また、エアパージを行うことで、下記のようなデメリットが発生する可能性があります。
- 室外機の冷媒ガスを放出するので、冷媒ガスが不足する
- 配管内部に空気が残っていると、そこに含まれる水分が凍ってしまい、エアコンの故障につながる
- 混合ガスでエアパージを行うとガスの比率が崩れ、エアコンの冷房力の低下を引き起こす
- フロンガスを大気中に放出すると、環境に悪影響を及ぼす可能性がある
このような理由から、DIYでのエアパージはお勧めできません。
まとめ
エアパージの作業は、専門の知識や技術に併せて、経験も必要です。
施工の確実さという点からも、施工実績が豊富なプロによる施工をお勧めします。
エアコンサポートセンターでは、確かな技術を持つ施工業者をご紹介しています。
エアパージをはじめ、エアコンの取り付けや取り外しに関するご相談にもお答えします。
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